断行・捨行・離行

脳は毎秒もの凄い量の情報を立ち上げてる中で、私がもっとも関心を注いでいる事だけを、私に認識させているらしい。
数字にしたら毎秒1100万ビットという膨大な情報から、たった15~20ビットだけをチョイスして、私の顕在意識にあずけるという。残りは潜在意識にストックしてるらしいが、私にとっては忘却しているに等しい。


ベッドに横たわりながら本を読んでいる時、背中にあたるシーツの感触が多分どんな情報よりも脳にダイレクトに伝わってるはずだけど、それよりも、本を読むことに関心が向いているので、シーツの感触は無に等しい。着ているTシャツの感触とか、ほっぺたに乗ってる髪の毛の感触とか、全部認識していたら、間違いなく気が狂う。

映画を観ている時は、関心はスクリーンの中だから、それより手前にいる観客の頭は目に入らない。
普段は気にならない時計の秒針の小さな音も、関心を向ければとても大きな音に感じられたりする。
目の前にいる人の話を聞いていても、その人、その話に関心がなければ、話の内容は頭に入ってこない。
嫌なこと、嫌いな人の事ばかりを考えていたら、その情報にフォーカスをあて始める。そんなときは、いくらまわりに楽しい事がちりばめられていても、楽しいと思えなくなっている。
逆に、好きな人の事ばかりで頭がいっぱいなんて時は、辛いと感じてた事柄を嘘のように忘れてしまい、イスの角に足の小指をぶつけてもそう痛みは感じず、春が来たような暖かさを感じ、人生がバラ色に感じられたりする。
それは正確にはバラ色のものだけが目に飛び込んでいるのであって、辛さや痛みは取るに足らぬものと忘却しているだけかもしれない。だって世間は何も変わってはいない。

毎秒1100万ビットと言うと、私の知識が正しければ11メガビット。iPhone5のLTEの通信速度と同じくらいか。あのバッテリーの消耗の早さを考えると、脳もやはり多くのエネルギーが必要な事がよくわかる。15~20ビットだけをピックアップするのは、脳の省エネ機能とも言えよう。
そう思うと、やっぱり脳の中はスッキリしていた方がいい。脳がムダな情報を立ち上げてエネルギーを使わないように、必要なものだけがあった方が良い。
そしてさらに必要なものが明確に理解できた脳は、実はもっとすごい事をやってくれているのではないかと思うときがある。
例えば、ふらりと立ち寄った大型書店で、大量の本からたまたま手に取った本がとても良書だった時の喜び、たまたまなようで、実は脳が、私にとって必要な本だと知っていたから手に取らせたのではないかとか。
人との出会いも、私が「こんな人と出会いたい」とずっとどこかで思っていたことを脳が知っていて、何億という人の数の中から、その人と出会わせあるいは波長を感じて、私をその人の方へと近づかせたせたのではないかとか。

ちょっと言いすぎじゃない?と言われそうだが、でも誰にでも、偶然とは呼びたくない出会いがあったりするはずで、その出会いに意味をもたせるとしたら私は脳がそうさせてくれたと言いたい。

それでも脳がそうさせたと言っても、それは自分の脳だから、神様仏様のような他力本願とはちがう。自分の思考次第というところが、なんとも頼もしく感じる。

だからもっと言えば、夢を叶えたいとか、なにかを実現させたいなんて時もどれだけそのことに関心を注いでいるのかが大事なのではないかと思う。
情熱とか、モチベーションと呼ばれるものを、最大の関心事として脳が「よし、わかった。」と受け止めそれが大きければ大きいほど、脳はそれに必要な情報をピックアップしようと、私をつき動かす。

あるいは好きな事を仕事にするのがいいっていうのもおそらくこの事で、スティーブジョブズなんて、まさにその典型だ。最大の関心事だからこそ、ーStay hungry,stay foolishーになれたのだ。一心不乱の時は、時間を忘れても、寝食を忘れても、それがとても心地のいい状態だったりする。
逆に「ムリだ」とばかり思っていたら、脳はムリとなる情報ばかりを集めてくるだろう。「頑張って!」の応援より、ドリームキラーの心ないひと言の方が大きく聞こえるかもしれない。


何に関心をもっているか、何を繰り返し考えているかで人生で得られるものが大きく変わってくるはずだ、そんな風に信じてみたい。
だから不必要な関心事は捨てさろう。まずはそこからだ。それにはヨガで体を動かすことも一つの手だってことは、私にもわかっている。
思考の断捨離をし頭をスッキリさせて、自分が手にしたいもの、実現したい事、叶えたい夢を目を閉じて、脳に託してみる。すると脳は、体を無条件に動かしてくれる。でも動くのは自分。お任せの境地とは意味が違う。それでもがむしゃらとか、力ずくとか、努力とか、ストイックともまた違う。求める方向へとナチュラルにつきすすんでいる状態。

いまの私の関心事はなにものか?それは必要なものか、不必要なものか。人生がときめく片づけの魔法は「ときめくかどうか」が大事らしい。頭の中も「ときめき」でジャッジしてみるといいかもしれない。


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