ヨガのクラスでは、インストラクターの誘導によってアライメント(姿勢)を作り上げていきます。
3つの写真はどちらも「ダウンドッグ」というアーサナです。
一見同じアーサナのようですが、それぞれ違った形であることにお気づきでしょうか?
よくよく見ると、例えばつま先の向き、背骨の形、首の長さ、目線…細かなことを言い出すとキリがありません。
ちなみに、一番最後の写真は私のダウンドッグです。
ではどれが正しいアライメントだと思いますか?
残念ながら、この時点では答えは出ません。
結論から言うと、アライメントは、あなたの"ヨガをする目的"次第で決まると私は考えています。
目的がはっきりしない間は、正しいも間違いも答えは出せないんです。
なぜでしょうか。
具体的な話をします。
あるヨガ関連サイトに「楽にダウンドッグをする方法」という内容の記事が書かれていました。
上半身についての一例を挙げると
①両腕は鎖骨から始まると思って、鎖骨ごと腕を前に突き出しましょう。
②指先はふわりと浮かせましょう。
③手首に体重をしっかりと預けて、マットを前に押し出しましょう。
おそらく記事は、この写真のようなことを伝えているのかと思います↑↑。
ですが、私はこのスタジオで、この3つとはまったく真逆のことをお伝えしています。
⑴腕は胴体の方へと引きこむようにして、左右の鎖骨は横一直線になるような意識を持ちましょう。
⑵爪の色が白く変わるほどに、指の第一関節はマットにしっかり押し付けましょう。
⑶両手は、マットの真ん中にしわを寄せるようなイメージで手前に引く力を持ちましょう。
肩首回りだけで明らかな違いがありますね。
これほどに伝えることが変わってくると、「どちらが正しいの?」と迷子になってしまいそうですね。
私は先ほどの記事に書かれた内容のことは絶対にお伝えしませんが、あえて申し上げると、この記事は正しいことを言っています。
なぜだかわかりますか?
この記事は「楽にダウンドッグをする方法」と言っています。
つまり、ヨガに「楽」を求めている人にとっては、正しいアライメントだと言えるからです。
(私自身、これが「楽か?」と問われれば、そうは思いませんが、初めてヨガをされる方の大半は自然とこの記事のようになります。無意識にそうされることを思うとおそらく「楽」なのかと思います。)
もしもこの記事の内容が「怪我をしないためのダウンドッグ」と書かれていたならば、私は「ミスアライメントだ!」と異議を唱えます。
首回りの神経が詰まり、手首には相当の負担がかかるからです。
ですが、「怪我を承知でそれでも ”楽” をしたいんだ!」という目的を持った方には記事の内容は正しいアライメントになり、私のアライメントはミスアライメントになります。
私はヨガのすべてのアーサナにに “楽” は求めていないからです。
「筋力はいっさい付けたくないんだ!」など、身体に効果は求めていないという方にとっても、私の誘導はミスアライメントになるでしょう。間違いなく筋力が付いてしまいます。
逆に言えば、「筋力を付けたい」のにアーサナが “楽” な型になっているようであれば、それはミスアライメントになります。
目的と実際のアーサナに矛盾が生じていては、無駄な時間を過ごすことになります。
では、改めて問います。あなたがヨガをされる目的はなんですか?
まずそれによって、あなたが選ぶべきインストラクターが決まってくるはずです。
あなたがヨガをすることで得たいものが明確となって初めて、それにピッタリなクラスを提供する先生選びがスタートします。
真剣であれば、どんなに時間がかかろうが、あるいはどんなに遠いところに先生がいようが、
その先生のところに会いに行くべきだと思います。
私のスタジオでいうならば、例えば「カラダを鍛えたい」「ダイエットしたい」「効率よく柔軟性を引き出したい」「腰痛を治したい」など、
”身体への効果”を目的とした方たちが、私を見つけて集まってくださっています。
これらの目的は、決して “楽” をしていては手にすることはできないと知っていて、新幹線に乗ってまで隔週でお越し頂く方もいます。
あなたのベストティーチャーが見つかりますように!